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値は両群間に有意差はないが、HDL−コレステロール値(p=0.000)だけはT群で高かった。これら両地域間で母平均値に有意差が認められたが、各検査値平均値はすべて正常範囲内の数値であった。
3.血圧、身体計測、血液検査値と生活習慣の関係
血圧、身体計測、血液検査値と生活習慣尺度との単相関係数を表3に示す。BMIが正相関を有するのは高塩分尺度(r=0.241)、疾病頻度(r=0.233)、遺伝的健康観(r=0.237)の各尺度であり、負の相関を有するのは、食事規則性(r=-0.151)尺度であった。収縮期血圧が正相関の関係を持つ生活習慣尺度は、疾病頻度(r=0.230)、情緒不安定(r=0.154)、遺伝的健康観(r=0.276)の各尺度および年齢(r=0.294)であり、負の相関を示すのは、洋風の食事(r=-0.183)と食事規則性(r=-0.144)尺度であった。なお、拡張期血圧は遺伝的健康観(r=0.204)尺度とのみ正の相関を示した。
総コレステロール値は食生活習慣の各尺度に対して有意な相関はなく、ただ年齢(r=0.419)とのみ有意な正の相関を示した。HDL−コレステロール値は、洋風の食事(r=0.204)尺度と外向性(r=0.157)尺度とは正の相関であり、義理人情(r=-0.264)尺度とは負相関を示した。尿酸値は、疾病頻度(r=0.301)尺度と年齢(r=0.408)とに正の相関を示し、洋風の食事(r=0.150)尺度は負の相関であった。グリコヘモグロビン値は、食生活習慣の糖分(r=-0.154)尺度と負の相関を、疾病頻度(r=0.373)、遺伝的健康観(r=0.207)尺度ならびに年齢(R=0.298)とは正の相関を示した。
4.血圧、身体計測、血液検査値への生活習慣の影響
血圧、身体計測、血液検査値への生活習慣の影響を検討するために行った重回帰分析の結果を、表4に示す。表4に示す数値は、血圧、身体計測、血液検査の測定値を基準変数、そして生活習慣尺度項目および年齢、地域を説明変数とした場合の、変数減増法による重回帰分析の結果である。なお、ここでは変数減増法の基準としてAIC(赤池の情報量規準、柳井ら、1986)を用いた。
BMIでは、標準偏回帰係数は地域が-0.388と最も大きく、社会奉仕尺度0.223、高塩分尺度は0.183、ついで疾病頻度尺度0.177であった。すなわちBMIは、地域差が最も強く影響しており、S群が大きく、社会奉仕に積極的であることと高塩分の食事と疾病頻度が高い群で大きくなる。
収縮期血圧では、標準偏回帰係数は社会奉仕尺度が0.336と最も大きく、年齢0.300、義理人情尺度-0.251、食事規則性尺度-0.246の順であった。すなわち収縮期血圧は社会奉仕に積極的で年齢が高く、義理人情にこだわらず、食事の規則性が低い群で高くなる。
拡張期血圧では、標準偏回帰係数は地域が-0.244と最も大きく、ついで年齢0.174、遺伝的健康観尺度0.148であった。すなわち拡張期血圧は、地域差が最も強く影響しており、S群で高く、年齢が高いことと健康は自分の努力ではどうにもならないという認識が高い群で高いといえる。
総コレステロール値では、標準偏回帰係数は年齢が0.498と最も大きく、疾病頻度尺度-0.132、料理への進取性尺度0.126の順であった。すなわち総コレステロール値は年齢が高く、健康のための料理への関心が高い群が高く、疾病頻度が低い群で高くなる。
HDL−コレステロール値では、標準偏回帰係数は、地域が0.283と最も大きかったが義理人情以外の尺度は選択されなかった。すなわちHDL−コレステロール値は地域差が最も強く影響しており、T群で、義理人情にうすい群で高くなる。
尿酸値では、標準偏回帰係数は地域が-0.388と最も大きく、ついで年齢0.362、自発性尺度0.195、疾病頻度尺度0.152、義理人情尺度-0.160、肉・油脂尺度0.129、洋風の食事尺度-0.127の順であった。すなわち尿酸値は、地域差が最も強く影響しており、S群で、年齢が高く、自発性が高く、疾病頻度が高く、肉・油脂の摂取頻度が高く、義理人情にこだわらなく、洋風の食事頻度の低い群で高くなる。

 

 

 

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